仕事を辞める前に、使える制度があります

親の介護が始まったとき、「仕事を続けられるだろうか」と考えるご家族は少なくありません。そして制度を知らないまま退職してしまう方が、今も多くいらっしゃいます。

介護のために使える制度は、大きく2つあります。介護休業と介護休暇。名前が似ていますが、日数も使い方もまったく違います。

本記事では、両者の違いと、施設入所の準備にどう使うかを整理します。

介護休業──通算93日・3回まで分割可能

要介護状態の家族を介護する労働者は、対象家族1人につき3回、通算93日まで休業できます[1]。

ここでいう「要介護状態」とは、負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態を指します[1]。介護保険の要介護認定を受けていることが必須というわけではありません。

そして雇用保険の被保険者で一定の要件を満たす場合、介護休業期間中に休業開始時賃金日額の67%相当額の介護休業給付金が支給されます[1]。無給になるわけではない、という点は非常に重要です。

介護休暇──年5日、時間単位でも取得可

こちらは短期の制度です。要介護状態にある対象家族の介護その他の世話のために、1年に5日(対象家族が2人以上の場合は10日)まで休暇を取得できます[1]。

時間単位での取得も可能です[1]。これが実務上とても有用で、「午前中だけ病院に付き添う」「役所の手続きに2時間だけ抜ける」といった使い方ができます。

介護保険の申請、認定調査の立ち会い、ケアマネジャーとの面談、施設見学──こうした細切れの用事に対応するための制度だと考えてください。

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2つの使い分け

整理すると、こうなります。

介護休業(93日)は、体制を作るための期間です。介護そのものを自分で担うための休みではありません。93日で介護が終わることはないからです。この期間に、介護保険の申請、サービスの調整、施設の見学と申し込み、家族間の役割分担を決める──つまり「仕事に復帰しても回る体制」を構築するために使います。

介護休暇(年5日・時間単位可)は、日常の細かい用事のために使います。通院の付き添い、手続き、面談などです。

この使い分けを誤り、「介護休業で自分が介護する」と考えてしまうと、93日が終わった時点で何も解決していない状態になります。ここが介護離職に直結する分かれ道です。

施設入所の準備に、どう使うか

施設入所を目指す場合、次のような使い方が現実的です。

介護休暇(時間単位)で:介護保険の申請、認定調査の立ち会い、地域包括支援センターへの相談

介護休業(まとまった期間)で:複数施設の見学、入所申し込み、面談・訪問調査への対応、実家の片付けや金銭関係の整理

特に首都圏にお住まいで、ご実家が福島・栃木という場合、移動に時間がかかります。まとまった日数を確保して、複数施設を一度に回るのが効率的です。見学の進め方は施設見学チェックリストをご覧ください。

勤務先への伝え方

「言い出しにくい」という声をよく伺います。ただ、これらは法律で定められた労働者の権利です。会社の温情でもらう休みではありません。

申し出の際は、①対象家族との続柄、②要介護状態にあること、③希望する期間、を伝えます。詳細な事情まで説明する義務はありません。

制度の詳細や給付金の手続きは、勤務先の人事担当、またはハローワークにご確認ください。介護離職を防ぐ考え方はこちらの記事で解説しています。

体制づくりを、一緒に考えます

「93日で何をすればいいのか」が、いちばん難しいところです。宗德グループでは、限られた期間で施設入所まで進めたいご家族のご相談に対応しています。

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この記事を書いた人
宗德グループ 生活相談員チーム
仕事と介護の両立を目指すご家族の、施設入所準備をサポートしています。 著者プロフィール →
出典・参考文献
  1. 厚生労働省 介護休業制度特設サイト「介護休業」:公式
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