認知症が進むと「お金が動かせなくなる」

認知症が進行すると、預金の引き出し、定期の解約、施設の入所契約といった法律行為が本人だけではできなくなる場面が出てきます。金融機関は本人の判断能力に疑いがあると口座を保護的に扱うため、家族でも勝手に引き出せません。

「施設費用を親の口座から払いたいのに動かせない」という相談は非常に多いものです。本記事では、こうした事態に備える成年後見制度日常生活自立支援事業の違いと使い分けを整理します。

日常生活自立支援事業──判断能力が「まだある」段階

日常生活自立支援事業は、社会福祉協議会が実施する制度で、軽度の認知症や障害があり「契約は理解できるが日常的なお金の管理が不安」という方が対象です[1]

支援内容は、①福祉サービスの利用援助、②日常的な金銭管理(生活費の払い戻し・公共料金の支払いなど)、③通帳・印鑑などの預かり、に限られます。契約内容を理解できる判断能力が必要なため、認知症が重くなってからでは利用できません。利用料は比較的安価です。

成年後見制度──判断能力が低下した後も使える

成年後見制度は、判断能力が不十分な方に代わって、家庭裁判所が選任した後見人等が財産管理と身上監護(生活・療養に関する契約等)を行う制度です[2]。日常生活自立支援事業と違い、判断能力が大きく低下した後でも利用でき、預金の管理から不動産の処分、施設入所契約まで幅広く対応します。

判断能力の程度に応じて「後見・保佐・補助」の3類型があります。申立ては家庭裁判所に行い、後見人には親族のほか、弁護士・司法書士・社会福祉士などの専門職が選ばれることもあります。

2つの制度の使い分け

ざっくり整理すると ── 判断能力が比較的保たれている段階で日常のお金の管理だけ支えたいなら「日常生活自立支援事業」、判断能力が低下し、契約や財産処分まで代理が必要なら「成年後見制度」です。

両者は併用できる場合もあります。まずは地域包括支援センターや社会福祉協議会に相談し、親御さまの状態に合った制度を選びましょう。

成年後見人は「身元保証人」にはなれない点に注意

施設入所で誤解されやすいのが、成年後見人と身元保証人の関係です。成年後見人は、原則として入所者の身元保証人(連帯保証人)にはなれません。後見人は本人の財産を管理する立場のため、本人の債務を連帯保証する立場とは利益が相反するからです[3]

ただし、後見人は本人の財産から施設費用を支払うことができます。保証人問題で施設入所に悩む場合は、身元保証人がいない場合の記事もあわせてご覧ください。

施設費用の支払いと管理をスムーズにするために

施設入所が決まったら、毎月の利用料を誰がどう支払うかを早めに決めておくことが大切です。後見人や日常生活自立支援事業の生活支援員が口座管理に関わっている場合、施設側と支払い方法・請求書の送付先を共有しておくと、滞納や行き違いを防げます。

宗德グループでも、後見人・ご家族と連携した費用の取り扱いに対応しています。施設費用そのものの軽減策は費用軽減の記事をご覧ください。

「元気なうちに」備えるのが最善

成年後見も日常生活自立支援事業も、本人の状態によって使える制度が変わります。判断能力があるうちなら「任意後見契約」を結んでおく選択肢もあります。お金の話は元気なうちにこそ ── これが、いざというときご家族を救います。

制度選びの入口として、まずご相談を

「どの制度が親に合うのか分からない」というのが多くのご家族の出発点です。宗德グループの生活相談員は、地域包括支援センターや社会福祉協議会、専門職とのつなぎ役も担います。施設入所とお金の管理をセットでご相談いただけます。本部024-937-0380へ。

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この記事を書いた人
宗德グループ 生活相談員チーム
成年後見・日常生活自立支援事業と施設入所をめぐるご家族の相談に対応。専門職や社会福祉協議会との連携もお手伝いします。 著者プロフィール →
出典・参考文献
  1. 全国社会福祉協議会「日常生活自立支援事業」:公式
  2. 法務省「成年後見制度・成年後見登記制度」:公式
  3. 厚生労働省「身元保証等高齢者サポート及び成年後見制度に関する案内」:公式